小中高校の消費者教育啓発Webゲーム「そのときあなたはどうする?」ワークブック・動画の作成

概要

 リーダー会で開発したWebゲーム「そのときあなたはどうする?」は、学校でオンライン教材として活用できるように、クラスの中だけの限定した環境で遊べるような仕組みや、作ったり遊んだりした子どもたちにアンケートを課すこともできるよう仕様を工夫して開発したものである。最も重要な点は、このゲームが、消費者市民社会の形成に寄与する市民をどう育てていくかということについて、「消費行動と選択」をテーマにして正面から向き合ったプログラムになっていることである。
 今回、学校教育の中でwebゲームを活用していただく前段階として、私たちの毎日の行動を見直し、そこに潜む選択のジレンマ問題に気づき、消費行動の見直しにつなげていくプログラムとして、学校の授業で使ってもらえるようなワークブックを作成することとした。併せて、指導案と授業用の動画も用意した。
 一人ひとりの小さな1つの選択をみんなで行うことができれば大きな問題を解決する力になることができるかもしれない。そんなことを考えながら、自分の行動を振り返ることができれば、きっと楽しいし、明日への希望にもつながる。

リーフレットを制作するあたって

 このゲームで扱っている「一人ひとりが自分の消費行動に向き合い、考え、明日の行動に移すことが求められるプログラム」は、新しい学習指導要領が求めている探求的な学びであり、学んだ知識を社会に活かすためにどうすればいいのかを考えるプログラムでもある。

 消費行動は、物を買ったり、使ったりするだけではなく、社会や地球や周りの人のためになるような選択という賢さをも問われている。一方、消費行動は、極めて個人的な営みであるが、社会や地球や周りの人のためになる消費を選択することは、私的な営みが公的な営みへと変化もする。その選択の結果は、社会の環境や安全や安心や他者への思いやりを学ぶ機会にもなる。加えて、SDGsの12番目の目標「つくる責任 使う責任」に関連した内容でもある。
 私たちは日々選択をしながら毎日を過ごしており、その選択した行動の結果が、今の社会の状況であり、環境問題の現状でもある。そのことに気づくことは、とても大事なことで、今の自分の選択が周りに与えている影響を考えることができるようになれば、その影響を良いほうに変えることで、社会にあるいろいろな問題解決の1つの解につながる。

 ワークブックの作成に当たっては、リーダー会議を重ね、それぞれ役割分担をしながら、オンラインと対面とでワークブック作成にあたった。小学校、中学校、高校、大学と広く使ってもらいたいと考えているが、今年度は、まず小学生に理解して活用してもらえるようなワークブックづくりから手掛けることとした。
 授業で使ってもらいやすくするために、ワークブックの他、指導案、30分の授業動画のパッケージとして作成することとした。自主学習でも使ってもらえるよう、動画は途中の作業時間も含めた動画として作成した。

企画から完成までの流れ

「そのときあなたはどうする?」ワークブックの作成のリーダー:荒川友奈(6期生)、サブリーダー:中村美月(6期生)、辻萌々華(6期生)

  1. 企画づくり:オンラインでのリーダー会議で、どんなワークブックを作成すればよいのか、意見交換した。使ってもらう場面、教科、学年、何が身近な問題なのか、そもそもこのワークブックの到達点はどこなのかなど、企画づくりを行った。
  2. どんなコンテンツを盛り込むか:ワークブックに入れる内容について検討を行った。盛り込む内容は、以下の3点に絞ることとした、
    ①私たちは毎日「選択のジレンマ問題」に囲まれていることに気づく
    ②自分の行動を振り返りwebゲームで示しているタイプを示すことで、毎日の行動には意味がある事を知ってもらう
    ③毎日の行動に気づいたことを明日の行動につなげていってもらうように行動宣言を入れる
    この3点によって、このワークブックを通しての学びと到達点は、「毎日の何気ない行動にはそれぞれ自らが選択したものであり、そこには意味がある。その気づきから改善したほうがよい行動があれば、明日の行動宣言として発表し、自らの行動変容につなげていく」ことである。
  3. 企画をワークブックの素案に落とし込む:リーダー会議で重ねた議論の内容を、ワークブックの形にどう落とし込むかの作業に移った。「毎日の行動を振り返る」中で、私たちは日々選択し、その行動の積み重ねが、結果的に回りに影響を与えることもあることに気づいてもらうために、小学生が毎日行っている身近な行動を「ジレンマ問題」としてQ&Aづくりを行うこととした。朝起きてから学校に行くまでの行動、学校に行ってからの行動、放課後の行動などのシーンから6場面を取り出して問題作りを行うこととした。
  4. 行動の意味に気づく:選択の3つのタイプは、それぞれの行動に意味がある。その意味について考えてもらうための仕掛けを組み込むこととした。自分の選択した回答がどのタイプになるかを知ってもらうこと。もう1つは選択にはそれぞれ意味があることをしってもらうこと。
  5. 行動変容につなげる:選択の意味に気づいたら、自らの行動を変えていくことで、周りに良い絵強を与えることができるような選択について考えてもらう。考えるだけでなく考えたことを行動につなげてもらうために、「行動宣言」をするワークを取り入れることとした。
  6. 色、ページ数などワークブックの体裁を検討し、完成させた。
  7. 完成したワークブックを基に、指導案、動画の作成を行った。
  8. 動画の作成:動画を作成するにあたっては、担当者を5名決め、それぞれがワークブックの各パートを担当した。動画づくりでは各自台本を作成し、繋ぎ部分を精査するために全員で集まって台本のブラッシュアップを行い、完成した台本で動画を撮影した。

ワークブック・動画づくりで重要視した点

1.児童・生徒の学び

本ワークブックと動画づくりで最も大切にしたことは、一人ひとりの「日々の選択」が周りの人に、周りの環境に、人々の生活に、どれほど密接に関わっているか。
そのことを知って行動するのと、知らないで行動することがどれほどの違いを生むのか。
それを子どもたちに知ってほしいと考えた。

2.「さあ!これからの子ども達に希望を託そう!」

そのために、ワークブックを通して「みんなの選択で未来は変えられる」ことを実感し、実践してもらうために、ワークブックの最後に「明日の行動宣言」の欄を設けた。
気づきが行動変容につながることを願っている。